池島炭鉱
今回は「九州最後の炭鉱」である池島の坑内探検ツアーに参加した模様を、写真多めで記載させていただきたいと思います。携帯撮影です、そろそろ一眼レフ欲しい。。
池島は、廃墟ファンにはたまらない、今がアツい離島です!!
池島港(鏡ヶ池跡)から貯炭場を見る。
ご存知ない方も多いと思うので、まず池島の簡単なご紹介から。
池島は、長崎県長崎市の外海の沖合西7kmに浮かぶ、周囲4kmの小さな島です。ここには九州で最後まで稼働していた炭鉱がありました。面積は0.9k㎡、軍艦島として有名な端島は周囲1.2kmで面積0.063k㎡なので、島内は自然もあり、だいぶゆとりある印象を受けました。
現在は閉山していますが、長崎の産業遺産として、一般の人に知ってもらおうと公開するツアーを開催しています。
こんな感じで20数名で島を回ります。
次に池島の歴史を簡単にご紹介しますと、(ツアー当日戴いたチラシを参考にしています)
天明02年(1782) 松島炭鉱を発掘。
明治10年(1877) 神浦小学校、池島文教場を設置。
明治20年(1887) 米国艦船、誤って池島を砲撃。
明治40年(1907) 池島文教場の新築工事が竣工。水道線を敷設。
昭和22年(1947) 学制改革によって神浦中学校池島分校を創設。
昭和24年(1949) 池島分校新校舎が完成。
昭和27年(1952) 池島炭鉱土地買収に成功。池島全島に電灯が灯る。
昭和30年(1955) 池島炭鉱着炭。
戸数87戸、人口941人(うち炭鉱従業者329人)
昭和32年(1957) 池島港が完成。
昭和34年(1959) 10月1日 池島炭鉱営業出炭開始。
池島小学校及び池島中学校が本校より独立。
昭和45年(1970) 人口のピークを迎える。
戸数2019戸、人口7776人
昭和56年(1981) 最高出炭量を記録。
池島炭鉱年間142万トン
平成13年(2001) 池島炭鉱閉山。
平成26年(2014) 戸数135戸、人口205人に減る。
閉山が平成13年とはちょっと驚きでした。閉山からおよそ15年。職がなくなり人々が離れるしかなくなった島は、どんどんと廃墟が増え、「第二の軍艦島」とも呼ばれているようです。
今いるほとんどの人が生活をしているエリア。
こちらは廃墟と化した団地のエリア。見渡す限りのマンション、田舎暮らしの私には衝撃的。
そして、巷で有名なのは猫。島の人口よりも猫の数が多いらしく、300匹くらいいるとおっしゃっていたと思います。
カメラを向けてもゆっくり睨むのみ。。人慣れしていて、撫でさせてくれました。
道路の真ん中に猫。危機意識が足らんぞ。
それでは、ぼちぼちツアーの振り返りを始めたいと思います!
私が参加したのは、「午前コース+Aコース」というもので、池島を15:57に出る高速船で帰されます。Sコースの場合は、17:00。羨ましい。。
午前コースは10:45に池島港集合で始まるので、早く帰るのなら早く行こう!ということで、佐世保港から7:22に出航する船に乗ることにしました。
船に揺られること1時間、船酔い限界状態で何とか到着。。船が苦手な人は経路を考えたほうが良いかもです。
早く着いて2時間ほど余裕が。30分は酔い覚ましに割き、笑
Aコースでは時間を取ってもらえない箇所を中心に下見に行きました。
島内にある地図。名所は9つ。
歩いても回れる距離ですが、周回バスが10分おきくらいに出ているので、終点まで行って下山する形で港まで帰って来るようにすれば1時間くらいで見て回れるだろうという感じでバスに乗車。
バスに乗ると運転手さんの地元トークが始まり、通るところの案内なんかもしていただいて。こういうのが醍醐味です。
バスツアー並みに各所の紹介をして下さいました。
バス乗り場の少々不気味な集合体。。
終点!1番見応えのある「8階建て社宅」というところ。と、記念にバスも。
ここから緑が生い茂るほうへ。。もう廃墟ファンとしてはテンションの抑えようがありません。
そそられる立入禁止感。
蔦が建物を覆い隠しているところも結構ありました。
島の商店街通り。それも新。
フォントといい、シャッターの感じといい最高(だと思うのは私だけ?)
こちらは島の小学校兼中学校。なんと現在生徒は1人!ナニコレ珍百景にも出ていたみたいです。
意外と広い。掃除とか大変そうな。。
ここは注目ポイントらしいのですが、池島にあって軍艦島にはないもの。
信号機です。
滅多に変わらない信号。ボタン押して渡ってあげました。(同伴者にやると思ったって言われた。笑)
そして、ツアーでは車窓にされてしまう、私的イチオシスポット!
その名も「旧発電造水施設」!
昭和41年に日本で初めて設置された海水を真水に変える装置だそうです。
発電も商品にならない炭を使ってやって、島の緊急用の電力を作っていたそう。
もうかっこよすぎて興奮しまくりで、写真撮ってもらったのですが、あんなににやけまくってる自分久しぶりに見ました。笑
感動を共有したいと思って、LINEで家族に送るも誰も共感してくれず、悲しかったのでここで発散させて下さい。。笑
・・・何度見ても惚れ惚れします。
普段しない自撮りしたり、目キラキラさせてわーわー言って、確実にディズニーにいる時よりの夢の国感あった自分。
もう一つ、お気に入りのところはここ。
確か緑の機械は、ジブローダーって言うのかな。積層されている感じが素敵。
戻る時に、港にフェリーに乗って来た移動スーパーを発見!
途中に行き会わなかった住民の方々がゾロゾロと。
このくらい回って、いざツアーへ!
年齢層は30代から上くらいで、男性が多かったですが、女性も割といました。
カメラ女子が猫目当てで来ることは多いそうですが、炭鉱にはなかなか、とのこと。笑
ツアーの最初に池島の歴史を20分ほどのビデオで勉強。映像で見るだけで、炭鉱で働くことの大変さが伝わってきます。
ここに今から行くのか・・・と。その前にご飯タイムー。
ジャン!「炭鉱弁当」と名付けられた島のお母さん達が作る再現弁当。
雰囲気があって面白かったです。他に飲食店がほとんどないので、みんな食べる申し込みをしている感じでした。
みんなでヘルメットを被って、頭にライトをつけてトロッコに乗ります。
初めに使っていた用具の説明から。
案内の方が実際に手にとって使い方をエアーで見せてくれます。ふむふむ。
パネルなどで歴史を紹介したり、「進撃の巨人」の映画撮影の視察で来た監督のサインなどをご紹介いただきながら・・・せっせと奥へ。
「高圧危険」などサインに敏感な自分。
入り口の光が眩しく感じる。
配線コレクション。笑
模型の掘削機、実際に動かして見せてくれたり、
ダイナマイトで掘り進めていくところの中途を見せてくれます。
これ、鉄の半円アーチをかけた後、木をその周りにかませるのですが、真っ暗な中さっさとやってしまうらしい。危険な現場だったそう。
どんどん奥へ!
避難する場所だったり、警告がなってから逃げ入る場所だったり、進みながら順序立って説明してくださるので、とても分かりやすい。
感動したのは、最後の方で行く地上と繋がる場所。
地下から炭を運び出すトロッコが地上で待っているのですが、誤ってストッパーが外れた場合の話は本当にヒヤッとしました。もし滑ってきたら、坑内はものすごい音に包まれ、逃げるしかないそう。
池島炭鉱は安全点検を徹底していて、実際に事故が起きたことはないそうです。
そんなこんなで、坑内探検ツアーは終了。(だいぶ省いてごめんなさい。)
ここからはAコースのスタートです!
書いて大丈夫だとは思いますが、基本的に回るのは「立入禁止」エリア。関係者以外立入禁止ということなので、研究目的の我々は立ち入っても良いのです。笑
もしくは、立ち入らずかがんで入れば大丈夫なんですって。ガイドさんさすが!
わーい!ツアーでしか味わえない体験の始まり。
立入禁止エリアだけあって、本当に危険な様子。ここでもヘルメットは欠かせません。
なんの施設か忘れてしまいました。なんか巻き上げる感じの。。(雑)
おぉ。好きな感じだー!
ガイドさんオススメの角度。そう言われてみんなしゃがんでカメラ上に構えてる光景面白かった。笑
続いては高台へ。まちを見下ろします。
正面には小学校、下には昔の飲屋街が。今は一店も営業していないそう。
人自体は6人くらい住んでいると言っていました。
日本で唯一ここだけ現存しているというもの。
この長細い線路?も独特の存在感を持っています。
トロッコの説明も受けました。
顔がかわいい。
それから、廃墟となった社宅の中に潜入!
夜勤で昼間に寝ることもあるので、その時はこんな札を下げるのですね。
お部屋の中。生活空間の再現をしています。
なんだか悲しい。。
キッチンもそのまま。
屋上(観光用に作られた)にも登れます。
歩いて行くと公園があったり、
現役の銭湯があったりします。
そして最初に行った8階建て社宅に着くわけです。
「進撃の巨人」の監督さんはこの建物を映画に使えるか視察にきたそうですが、映画のイメージとはちょっと違ったらしいです。
こんな感じで朝8:30から15:30まで濃い時間を過ごし、大満足でした!見所も学ぶことも本当に盛りだくさん。
行く前に拝見はしていなかったのですが、このサイトは写真が綺麗に見れるのと、デザインも素敵なので見やすいかと思うので、興味を持たれた方はご覧下さい。
そして!
案内をしてくださったガイドの池島のちょいワルおじちゃんが教えて下さったのですが、全国の島々が集まる祭典「アイランダー2015」という催しに参加するそうです!
開催日は、11/21,22、場所は池袋サンシャインシティで行われるそうなので、他の島を知る良い機会でもありますし、行ってみてはいかがでしょうか!
池島の宣伝になぜか力を入れる自分。笑
そう思えるほど池島は魅力がたっぷりで、ぜひ色んな人に知って頂きたい。そして、訪れて頂きたいと思いました。
それは、廃墟に興味を持って訪れた私ですが、それだけでなく
炭鉱で働いてきた人々の苦労や誇り、日本の産業の歴史、そして今もまだ住まわれている方々による生活の努力を感じていただきたいからです。
戦争を知らない世代と言われる私たち若者は、生まれた頃から厳しい労働の現状をあまり知らない。生きていくことの厳しさを知らないのです。
ガイドさんが、「この機会に少しでも知ってもらって、君のような若者にこれからの世代にこういう時代、こういう場所があったことだけでも伝えていってもらいたい、そう思って伝える活動を続けている。」とおっしゃっていました。
建物の老朽化、人口の減少を止めることが出来ない状態で、これをどう捉え、どう働きかけるか、様々な取り組み方があると思いますが、素晴らしい産業遺産、島全体をもっと多くの人に知ってもらえる方法を考えてみたいです。これは日本の様々な場所でも言えることですので。
安全性の問題から諸施設が次期に解体されてしまう可能性が高いそうなので、池島の状況を見守りつつ、ぜひまた訪れてみたいです。
長崎県の観光案内サイト「長崎さるく」でツアーの詳細がご覧になれるので、興味を持たれた方はアクセスしてみてください!
最高でした、池島。