ブリヂストン美術館
2015/04/26 ゴールデンウイーク前の日曜日。学校の課題が順調に進み暇になり、天気も良かったので、前から気になっていたブリヂストン美術館に行ってきました。
開館63年を迎えるブリヂストン美術館はビルの新築工事の関係で、2015年5月18日より長期休館することになっています。この展覧会が休館前の最後の展示となる訳です。なんて最後に相応しいタイトル！
長い歴史と深い成り立ちを持つブリヂストン美術館。少々説明が長くなりますが、お付き合い願います。
この美術館は、ブリヂストン創設者の石橋正二郎の収集した美術品を秘蔵・死蔵することなく、広く社会と共有しようと考えたことから生まれました。彼のコレクションの特徴は19世紀以降のフランスを中心とした西洋近代美術を系統だって揃えているところです。
石橋正二郎さんの本格的な絵画収集の発端は、石橋さんの高等小学校時代の図画教師だった版画家の坂本繁二郎の願いである「青木繁の作品を集めて美術館を作ってくれ」という言葉からだったそうで、それから青木さんの作品を中心として日本近代洋画の収集を始め、コレクションを増やしていきました。
それから「日本の洋画家たちの作品と、彼らがお手本としたフランスの画家たちの作品を一緒に並べたら異彩を放つだろう」と、第二次大戦後の社会変動の中売りに出された西洋の美術作品を精力的に購入していったそうです。「明るい絵が好き」ということで、印象派をはじめ19世紀から20世紀初頭のフランス絵画を中心に収集していきます。
そうして収集された美術品が展示されるようになったきっかけは、ニューヨーク近代美術館にあります。初めて渡米した際、幾つかの美術館を見て回る中、一番感銘を受けたのが都心のビルにあるニューヨーク近代美術館で、自らも東京の京橋に建設中であった本社ビルの2階を急遽、美術館として開館することを決意。そこには石橋さんの「好きな絵を選んで買うのが何よりも楽しみであるが、もとよりこのような名品は個人で秘蔵するべきでなく、美術館を設け、文化の向上に寄与することがかねての念願であった」という言葉から分かるように、美術を誰にでも楽しんでもらいたいという公共性に対した豊かな感性が感じられます。
そして、美術館の開館4年後には財団法人石橋財団を設立、コレクションの大半はここに寄付し美術館の管理運営を委ねたのでした。
そんな彼の財団のコレクションは現在2,585点を数え、そのうちから選び抜かれた約160点を観覧できる「BEST of THE BEST」はまさに最高の展覧会と呼べるでしょう。
またこの展覧会では、美術館の63年間の歴史を紹介するエリアが設けられており、初めて訪れた人は功績を知ることができ、昔から知ってる人達は懐かしさを感じられるかもしれません。
第二次大戦後のまだ混乱が残る中、まだ国立西洋美術館も存在しない時代に、フランス美術を観覧できる唯一の美術館として誕生したブリヂストン美術館。都心で人々に安らぎと癒しを与える愛される存在だったんだろうなと感じました。
八重洲口から徒歩10分ほどです。
キャリーバックを引きながら訪れている人がいたり、高齢のご夫婦や若いカップルや、もちろん私のようなお一人さまなど！年齢層も多様で来場者も結構多く、今でも都内で気軽に芸術を楽しめる場として愛されているのだろうと思いました。
（´-`）.｡oO（ここから余談です。
美術館を選ぶ時、展示会の内容や建設した建築家で選ぶことが多いので、私的にはブリヂストン美術館はいつも少し選択肢から外れていました。。
しかし、この美術館に行きたかった理由がありまして、それは高校時代の校長先生にあります。
高校を卒業してから2年、お世話になった校長先生が退職されるということでご挨拶に3/31(勤務最終日)に高校を訪れました。先生は最後の片付けが終わらないんだよねーと言いつつ、快く校長室に招いて下さり、高校の思い出や大学生活などの話を聴いて下さりました。
そんな中、私が大学で建築を学んでいること、美術館や建築物巡りをしていることを話すと、先生も美術館に行くのが趣味だと仰り、好きな美術館の話をして下さりました。
そのとき紹介して下さったのが、この「ブリヂストン美術館」だったという訳です。なぜ好きなのか、あまり理由は伺えませんでしたが。。
それなら絶対行くぞ！と心に決め、早1年。改装前に行けて本当に良かった。先生との約束達成！
数年後、ビルごと新装オープンするそうです。いつになるかまだ決まってないようですが、その時はまた新しいブリヂストン美術館に訪れたいと思います。
校長先生を訪れたその日に高校で撮った桜の写真でお別れですー。
