ぷらっとりっぷ

自由気ままに、ぷらっと旅行してみませんか?

長崎県美術館

2015/09/05~07 長崎県に2泊3日で旅行してきました。最近の九州率高めです。

1日目は平戸・佐世保方面、2日目は池島という炭鉱閉山した離島、3日目は長崎市内を散策するというプランで行きました。

 

長崎県に行くのは何度目かなので、ハウステンボスグラバー園などの有名なスポットは回らず、、というか目的は「池島に行きたい!」だけだったのですが、せっかくなので美味しいもの、面白い建築も見ようといった緩い感じで行きました。(笑)

 

 今回は最終日に行った長崎県美術館について記載したいと思います。

f:id:jyankshon:20150908100736j:plain

 ベイエリアの長崎水辺の森公園の隣に位置してる、開館10周年を迎えた美術館。

 

 この美術館は2005年にプロポーザルによって選ばれた隈研吾により設計されました。

f:id:jyankshon:20150908100743j:plain

結構な存在感。ガラスに映る景色が美しい。

 

 ファサードはストレート状の石板に囲われていて、美術館のロゴマークにも使われ、シンボルとなっているようです。

f:id:jyankshon:20150908100823j:plain

この垂直のファサード、まさに隈建築・・・!

 

 長崎県美術館のコンセプトは、「呼吸する美術館」。

美術館の枠を超えて、呼吸しながら都市や地域を大きく活性化していく、今までにない視点を持った美術館を目指している、とのこと。・・・壮大だなぁ。

その方法をどのようにとっているのか、考察していきたいと思います。

 

 まずは、平面配置から見ていきます。

f:id:jyankshon:20150908100731j:plain

運河を挟んで左右に佇む形で配置されています。

 

 こちらが平面図。

f:id:jyankshon:20150909003453p:plain

(参照:長崎県美術館

 この美術館の建築の大きな特徴は、運河を挟んで東西に2つの棟を設けているところです。

ギャラリー棟と呼ばれる西側の棟はエントランスやミュージアムショップがあり、県民ギャラリーやホール、アトリエなど気軽に市民が利用できる施設を集め、美術館棟と呼ばれる東側の棟は展示室をはじめ、収蔵庫や作品搬出入口、事務所などの本来の「美術館」としての機能を集めています。

両棟にそれぞれ開く機能と守る(閉じる)機能を集約することで、利用方法を明確にしています。

f:id:jyankshon:20150908100819j:plain

エントランスロビー。高さ12mの吹き抜け空間。エレベーターがイケメン。

 

 この機能の分離が大きな特徴のように思いますが、正直なところ、その利点をあまり感じませんでした。

というのは、機能を分離してしまうことで利用者の行動範囲が限定され、各々の行動に交流が生まれないと思うからです。

この日は特別会議やイベントで利用されている日ではなかったので実際の使われ方は定かではありませんが、美術館に入って展示室に向かう際、立ち入ってはいけない空気感というかギャラリー棟に人の気配が無く、使われていない雰囲気が伝わってきました。

機能分離をする美術館は、過去にも多く建設されている形ですし、気軽に立ち寄って何かが始まる、といった創造性はあまり感じませんでしたね。

 

 エントランスロビーは開かれた空間の代表的な場所ですが、ここはとても開放的なことには変わりないのですが、パンフレットに書いてある「・・・明るく開放的な雰囲気で来館者を迎えます。」とは、どうも感じず。。

開放的過ぎて、受付の人の視線が気になるというか、居心地が悪い感じ。

 

 何でしょう、この日、体調でも悪かったのかな。隈建築がどうもしっくりこない。。

 

 

 続いては、自然との関わり方について。

ギャラリー棟の一部や屋上を芝生で埋め、隣接する「長崎水辺の森公園」との緑の連続性を狙っているそうで。

f:id:jyankshon:20150908100801j:plain

2棟を繋ぐ通路部分。

f:id:jyankshon:20150908100750j:plain

エレベーター室から屋上を見る。

 この屋上庭園には彫刻が設置されていますが、美術館の外からもアクセスが可能で、美術館に入った人でなくても自然を感じつつ美術と親しむことができます。

 

 屋上には所々ベンチも設置されていて、曇っているこの日は日差しが強くなく風もあったので、気持ちは良かったです。

f:id:jyankshon:20150908100757j:plain

 この歩行部分を回遊しながら、自然と美術に触れ合うというわけです。

 

 感想は、芝生高そう。(笑)

自分の関わっている事業の方でちょうど芝生の値段を調べていたのもあって、それしか考えられず。。

しかも、安全面から立ち入れない外側の部分にも芝生は敷き詰められ、完全に観賞用ですね。立ち入れる所も寝転んだりシートを敷くことが許されている雰囲気はなく。

それでは、本来の芝生の役割を果たせていないというか、日本人が憧れで敷いた芝生に過ぎない役割で、もったいないという感想を持ちました。

 

 この美術館のコンセプトとして、「刻々と姿を変える自然もまた、この美術館にとって石やコンクリートと同様、大切な建築の素材となっている」「四季のめぐりとともにその表情を豊かに変える美術館の空間は、訪れる人々に新しい発見と創造の喜びを提供する」としていますが、それを表すには別の方法があったのではないかと思ってしまいます。本当に偉そうですけど。

芝生は、四季の変化を感じさせるにはそこまで有効な素材ではない気がしますし。

隈建築にある、マテリアルが建築にもたらす効果(地面との連続性や独特な空間体験など)もあまり感じなかったというのが正直なところです。

 

 

 自分の勉強不足だと思うので、少し書いて終わりにしたいですが、、

この美術館にしっくりこない理由は、この地に建っている背景がないこと、美術館の意味合いがイマイチ掴めないことだと思います。

長崎は歴史的建造物、それも西洋的な建築が多く、このような現代建築が逆に浮いて感じてしまったのが原因かもしれません。

 

 おおよそ初めて、見学した建築に対して良い意見を書かない記事になってしまいました。。

でも自分が「理想的な建築」を考える上では、その方が良いと思っていたので(いつも好きな建築家さんの建物は褒める一方だったから)、今回はここまでにしますが、どうしたらもっと良い建築だって言えるのか考えてみたいと思います。

f:id:jyankshon:20150908100734j:plain

隈建築の好きなところ、ルーバーでお別れ。

 

 次の記事では、2日目で行った「坑内探検ツアー」の模様をお送りしたと思いますー。