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ギャラリー桜の木

2015/08/23 軽井沢建築巡りの旅、続きます。

 

 訪れたのは、軽井沢駅より徒歩7分の「ギャラリー桜の木」です。

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こじんまりとした佇まいのギャラリー。たくさんのドア型の窓が特徴的。

 

 この建築は、軽井沢ニューアートミュージアムのすぐ横に建っています。

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 こちらには入りはしませんでしたが、白髪一雄さんや田中敦子さんなどの海外で高い評価を受ける具体美術の方々の作品を展示をしているようでした。

軽井沢現代美術館で扱っている方々とほとんど同じっぽいけど、、偶然なのかな?

 

 ギャラリー桜の木に話を戻すと、2007年12月にオープンしたそうで、写真で見ていたよりも外装が黒くなっていました。

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白い壁から電球色の光が漏れている様子が温かみを生んでいますね。

 

 設計はNAP建築設計事務所の中村拓志さん。友達に薦められて読んだ、中村さんが執筆なさった『恋する建築』を読んでから、気になっていた建築です。

この建築の特徴は、何と言ってもこのスケールがどんどんと小さくなっていくアーチ状の開口部でしょう。

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壁紙、電灯の色が違うことで、空間の奥行きがさらに強調されています。

 

 このギャラリーのコンセプトは「人が絵と恋に落ちるようなギャラリー」。

「恋に落ちるというのは、絵の登場人物に深く共感するとか、絵の風景に自らの心象風景を重ねて、絵とずっと一緒にいたいような気持になること」だと『恋する建築』に書かれていました。恋がテーマなのがよく分かる。

 そのきっかけを作るために、絵と2人きりで見つめ合えるような個室をいくつも設けることにしたそうです。そして、個室の空気感を絵の雰囲気に合わせるため、テイストはそれぞれ変えて臨場感を高めています。

 

 ギャラリーの作品をより多く興味を持って見てもらうため、おもちゃの箱の迷路に迷い込んだような気持ちになる、小さな部屋が連続した構造が生まれたそうです。

この構造は壁構造ですが、その薄さはわずか30mm!こんなに薄い壁は普通の柱梁による軸組工法では実現できないと思います。

ここでは、カラマツの集成材という木を用いていて、短いスパンで何枚も壁を重ねているので、薄くても強度は保てるということです。部屋に圧迫感がなかったのは、この薄い壁厚に理由があるのだと思いました。

 

 さらに、圧迫感を感じないのにはもう1つ理由があり、それは開口部です。特徴としてあげたアーチ状の開口部。

視線が抜けるように配置することで閉塞感を感じさせず、どんどんスケールを小さくすることで自分の体が小さくなったような感覚が生まれると思いました。

室内には1,000mmくらいの高さの開口部もあったり(ダミーではないと思うけど)、本当にドールハウスに入っているような感覚を受けます。隣の部屋はどうなってるかなってん、違う部屋に行くのが楽しくなる空間です。

 

 他の建築にあまりない、こだわりの点なのかなと感じたのは、壁の仕上げです。

木の壁には普通塗装をしますが、ここではレースや和紙、渋柿の塗装などの透ける素材にすることで、木の質感を感じられるようにしています。

これを中村さんは「薄化粧」と呼んでいて、建築を人間の女性のように愛しているのが伝わってきます。肌のように見立てることで、人間と建築は今まで以上に近い存在として対話できるのであろう、と。

 

 中村さんの建築を見学したのはこれが2件目ですが、彼の建築はとても人間に近いというか、側に感じることができると感じます。

これはやはり「恋」と表現するように、人間と建築が触れ合い理解するきっかけを与える独特の手法にあるのだと思いました。きっと建築を建てるとなった時に、その土地やそこに生息する自然をよく観察し、建築に落とし込む。その細やかな操作が、その建築を体感した人に伝わるのでしょう。

その「恋」をあらゆるものに広げていって欲しい。難しいことを言わずに、「世界はかけがえのないものなんだよー」というメッセージを表現し続けるところが、現代的な建築家さんだなと思いますが、そんなところが好きです。

 

 

 ギャラリーで社員の方に話しかけてもらって、色々とお話したのですが、「お客様は建築を見に来られたのですよね?」と聞かれて、ゴメンなさい、作品見てなくてってなりました(笑)、これは本当にしちゃいけない失礼なことなのに。。

でも、興味深いことをおっしゃっていて、「絵を扱っている側からすると、絵と建築の関係性をどのように受け取っているのか気になる」とのこと。

難しい。え、難しい。

今考えたのは、以前思っていたことを例にしますが、ラッセンの絵を海が見える真っ白な家に飾る。(←私の昔の夢でした。)

ラッセンの絵がありきで、別荘を海が見えるところに建てるのか、別荘があってこの壁に合うのはラッセンだなーみたいな?必要条件、十分条件的な。

これが必要十分条件になるのが、絵と建築の理想的な関係性、なのかな。

それって運命の人を見つけて結婚するみたいにお互い以外には考えられない関係性が生まれることなんだと思うと、「恋する建築」ってそういうことなのか、、!

正しい解釈じゃないだろうけど、自分的には納得してしまいました。完。

 

 

 軽井沢の歩道、手作りの動物がたくさん置いてあるんですね。一昨年気がつかなかった。。(研修で行っていたから不機嫌にぼーっと歩いてたんだな。。)

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こういうまちの人が手作りしたような作品が置かれていると、温かみを感じますね。

 

 そろそろ夏も終わりですねー。今年も意外とやりたいイベント順調にこなしたなー!

初めてひまわり畑行ったり、金魚観たり、カキ氷並んだり、花火観たり。。。

「夏祭りディズニーに行けなかったのが心残り。。」と友達に話していたら、「私もー。」って言われて、「「え、行く?」」ってことで最終日の31日に行くことになって。

思ったことは口にするべきだと学びました。

 

 では、最後までお読みいただいてありがとうございました!