座・高円寺
2015/05/22 設計課題の事例調査を含めて、高円寺にあります「座・高円寺」に行ってきました。
テント小屋のような劇場。
「座・高円寺」は旧高円寺会館の老朽化に伴い、新しく建て替えられた劇場です。設計は伊東豊雄さん。
JRの高円寺駅から大通り沿いに徒歩5分くらい進んだ住宅地に建っています。思っていたよりこじんまりとした印象を受けました。
歩道には既存のブロックを少々張り替え、オシャレに道案内した表示がありました。
軒が出っ張った駐車場側。
雨の日でも役者さんや荷物が濡れずに中に入れる工夫でしょうか。
「座・高円寺」は地下3階 地上3階の建物です。必要諸室を取り込むには敷地が狭く、なおかつ高さ制限があるようで、大部分の施設を地下に埋め込み、地上部分はメインの小劇場とカフェ、事務所程度に抑え、あえて「閉じた」テント小屋を提案されたようです。
こじんまりとした印象を受けたのは、周辺環境の状況や遮音の問題を考慮し取られたこのコンセプトによるものだと気がつきました。
それではメインロビーから紹介していきたいと思います。
エントランスから見たメインロビー。
入った瞬間、異空間に来たような不思議な感覚がありました。
メインロビーは開放的で無駄なものが一切ない空間で、床が照明で丸くて照らされているのが印象的でした。
壁面には劇場の案内や地域の団体が自由にパンフレットを置くことができる棚が設けられています。
壁に掛けられたポスターを貼っておけるボードも丸く可愛らしい。デザインの統一感を感じます。
メインロビー奥の階段から1階ロビー、エントランスを見る。階高は4,800m。
この施設で大切な役割を担っているのは、地下から地上を繋ぐ螺旋階段だと思います。
手すりには円形の照明が埋め込まれており、光に導かれ自然と登りたくなるような効果があって、子供が来たら楽しく遊び始めそうだなぁと思いました。
2階はカフェ、3階は演劇資料室になっています。
階段を登るとすぐにカフェ空間、また資料室のテラスのような場所も見えます。
カフェは自然光により壁の黒塗り、濃赤の土壁の質感を照らし出され、神秘的な空気感を醸していました。
天井面には屋根の形状が表れ、照明のレールが曲線を描いて配されている様子もよく分かります。
壁面はこのように壁にガラスがはめ込まれていて、自然光が入り込む仕組みになっています。
私が訪れたのは14時頃だったので、上から光が降り注ぐイメージですね。夕方太陽光が横から差し込む時間帯は、また違った印象を受けるでしょう。
カフェの壁には鉄板を折り曲げて作られた本棚が設置されていました。
週末などに絵本を読み聞かせる親子のイベントが開催されているらしく、本棚にも絵本がたくさん置かれていました。
ディスプレイ用のラックは大人の目の高さ、平置きされている本は子供の目の高さになっていたので、子供が気になった絵本を自分で取ってくることが出来そうです。
出来れば、読み聞かせイベントの日にお邪魔したかったです。ビビリだから1人で行く勇気ない。。汗
1階から地下2階を見下ろす。
写真中央に見えますのが藤江和子さんによってデザインされたイスで、フェルトで覆われ大人数で座ることが出来ます。
このイスの前には、劇場のチケット売り場があり、この時は関係者の方々が資料の整頓場所として使用していましたが、上演前などはお客さんの休憩場所、待ち合わせ場所として利用されそうでした。
1階、2階と違って、地下の壁はコンクリート打ち放し。雰囲気が変わる効果がありますが、意図したものがあるのか疑問を持ちました。
地下1階は劇場はなく阿波踊りの練習場とお手洗いが配置された階だから、公の要素を減らし若干私的空間を意識したのかと考えます。
こちらも地下2階に設置されたイス兼テーブル。
1枚の板を折り曲げたようなデザインで、1,2人用のサイズの座面なので気軽に腰掛ける事が出来ますし、面白いデザインだなと感心しました。
演劇を観覧しなかったので、劇場(座・高円寺1,座・高円寺2)を見ることは出来ませんでしたが、機会があったら是非観に来たいなと思います。
高円寺で有名な「阿波踊り」の紹介パネルがあったり、芸術作品の展示スペース、市民参加型のイベントがあったりと、単なる劇場としてでなく、地域の文化・情報発信の場として、地域住民の交流の場としても機能を果たしているのだ感じました。
個人的にあと興味深かったのは、屋根の形状で、最近のパソコンでの設計によく見られる形の作り方で面白かったです。(上手く説明出来そうにないので割愛。)
目で見るとあまり感じないけれど、写真だと自然光と照明の明かりの違いがよく分かる。。
この後、高円寺をブラブラして家路に着きました。古着屋巡りにもまた来たいな〜!