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犬島「家プロジェクト」

お久しぶりです!!更新を怠っていたのに、購読して下さる方が増えていてとても嬉しいです(;_;)!ありがとうございます!

 

今日は前回に引き続き、犬島の記事を書いていきます。

 

さて、家プロジェクトは直島の時に聞き覚えがあると思います。

あれの規模が小さい版の様なもので、アートディレクターの長谷川裕子さんと建築家の妹島和世さんによりプロジェクトが展開されています。

集落に点在するギャラリー施設は、かつて建っていた民家の古材を再利用したり、透明なアクリルを用い周囲の環境と一体感を持たせるなど、新たな展示空間の創造に取り組んでいます。

島内には7つの施設があり、45分位で観て回れると思います。

それでは、年代が古い順に紹介をしていきたいと思います。

 

2010年に企画展示を目的として3つのギャラリー「F邸」「S邸」「I邸」と「中の谷東屋」が公開されました。

 

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曲線の出っ張りが興味をそそる「F邸」。

元あった古い民家の梁や柱などを出来る限り再利用しています。

写真の右上に小さく見える石の神様を祀る神社や周辺の草むらとの一体感を重視したギャラリーとなっています。

 

家の中のオブジェは、名和晃平さんによる「Biota」という作品。

数々の動物や植物を連想させる造形物をこの敷地内に展示する事で、犬島という場を背景にした新しい生のかたちを表現しているそうです。

 

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雨水が輝く窓ガラスのような「S邸」。

透明のアクリル壁が連なるギャラリーで、アクリル板を通して作品と風景を一体に鑑賞する事が出来ます。

 

壁の中に設置された作品は、荒神明香さんの「コンタクトレンズ」。

大きさや焦点の異なる無数の円形のレンズが並べられています。

これを通して周りの景色を見ると、形や色、大きさが歪んで映し出され、見る人に目に見える世界の多様性を実感させます。

 

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明るく造園も美しい「I邸」。

こちらも古い家屋の木材や瓦を再利用して再建したギャラリーで、敷地内の庭にはカラフルなアクリル板や鏡が置かれていて、面白かったです。

春には花も咲き、島の人々で協力しながら育てているそうです。

 

内部では、前田征紀さんの「Universal Reception」という光と音を用いた作品を楽しむ事が出来ます。

植物流動水を用いて可視化した作品に心地よいサウンドが融合され、生命の息吹を感じられる作品だと思います。

 

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休憩所として作られた「中の谷東屋」。

小高い丘にフラットな床と屋根で地形に馴染むように建てられています。

アルミ合金なので汚れも気になりません。

 

休憩所の椅子、不思議な可愛い形をしていると思いませんか?

これは、妹島さんが所属するSANAAによるデザインの「ラビットチェアー」というもの。

 

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左右非対称の背もたれ!ウサギの耳みたいで可愛い!

座り心地もなかなかで、座ってるだけで楽しい気持ちになるんです。

 

 

そして2013年に新たに「A邸」と「C邸」が加わりました。結構最近なんですね!

 

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1番印象的だった「A邸」。

「S邸」と同様、透明なアクリルを用いたリング状のギャラリー空間。

リングの中(中庭)に立ち、ぐるりと周りを見渡すと、展示空間と周囲の風景の連続性を体感する事が出来ます。

 

この色々な造花の花びらを組み合わせて作られた作品は、荒神明香さんの「リフレクトゥ」です。とぅ〜(・3・)

前後関係のある花びら達によって、A邸の形状の特性が明確になり、見る角度により変わる絵がまるで万華鏡のようでとても綺麗でした。

 

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ホームベースにバット・・・一見なんだかよく分からない、そんな「C邸」。

この建物もかつてこの場所にあった築200年以上の建物に使用されていた松材を再利用し、ワンフロアの広い空間を持つギャラリーにしています。

 

中は暗幕で覆われ、外国のアーティストにより作成された「Inujima Monogatari」が上映されています。

この映像作品は、かつての犬島の現場産業であった「石切り」を主題としていて、石切場で野球をする姿、男達を見送る光景が描かれていました。

個人的な感想ですが、終始どこか悲壮感が漂っていて、近代化とともに歩む島の人々の実情の過酷さを感じました。

 

金属バットの表面は石を打っていたからかベコベコで、あそこまでいくには結構打ったんだなーと思います。

 

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最後に、番外編の「石職人の家跡」。

建物はないのですが基礎をそのままにして作品が作られていました。

これは、浅井裕介さんの「太古の声を聴くように、昨日の声を聴く」です。

浅井さんは土や身の回りの素材を用いて奔放に制作をされる方で、この残っている基礎の素材や場所全体に蓄積された記憶に反応するように、動物や植物といった生命力の溢れるモチーフを用いて作品を描いています。

 

この作品がある場所の周りは普通の民家もいっぱいで、芸術と生活の共存の仕方が見事だと思いました。

 

 

家プロジェクトが行われているから、と犬島の島内を散策する訳ですが、そうすることで既存の家屋や島の地形に自然と触れる事が出来るし、リメイクされた家を見ることでその本質に気がつく事が出来ると思います。

直島と比べると「家」というより「作品」感の強い印象を受けましたが、写真OKなところがほとんどなので、自由にギャラリーを楽しめて良かったです。

 

道で出会う島の方々も非常に親切で優しい方ばかりで、これも離島観光のいい点だと思います。

前日雨でこの日に晴れた事を喜んでいたら、「自分も嬉しい」と観光客の私を思ってくれたお兄さんには正直惚れました・・・。(笑)

 

島内に休憩所やゴミ箱があまりありませんが、食べ歩きやポイしてなどマナー違反をする事なく、自然を大切に迷惑をかけない観光を皆心掛ける必要があるでしょう。

 

全体的に見て、私的には犬島!オススメです!

充実した時間を過ごす事が出来ました、ありがとう犬島〜

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さて船に乗って、島巡り最後の島となる「豊島」に移動です!