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地中美術館

今日から、2014/03/01,02に行った1泊2日の「瀬戸内海 島巡り」の旅をまとめていきたいと思います。記事の数は8つくらいを予定しています。

私が今回訪れたのは、直島・豊島・犬島の3島で、情報は「ベネッセアートサイト直島http://www.benesse-artsite.jp/)」から得られますので、興味を持たれた方はご覧ください。

 

それでは早速、まとめていきたいと思います。

まずは、直島の美術館の代表とも言える「地中美術館」です。

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全面撮影禁止のため、公式サイトの写真を頂きました。(以下の写真も同様。)

 

航空写真を見ても分かるように、美術館の大半は地中に埋まっています。これは、瀬戸内海の美しい風景を損なわないようにと安藤忠雄さんが設計したもので、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品が恒久設置されています。

天井から降り注ぐ自然の光で作品を照らし、時間帯や天候、季節によって様々に表情を変え、訪れる観光客を魅了します。

 

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鉄筋コンクリート造の地下3階建てのこの美術館は、安藤忠雄さんの建築を構成する主な素材である、コンクリート、鉄、ガラス、木を使用し、デザインを極限まで切り詰めて設計されています。

無機質な壁に天井から落ちる自然光、目線の高さより少し低くに取られたスリットから入る風、地中で唐突に自然を感じる事で、その大切さを実感し、人間との関係性を考えさせられました。

 

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地下2階に設けられたクロード・モネの部屋。

地中に作られた空間でありながら、自然光のみでモネの「睡蓮」シリーズ5点を鑑賞する事が出来ます。

この5点の絵画を展示する事を念頭に設計されたため、部屋のサイズ、デザイン、素材まで選定されています。床はタイル張りになっていて、靴を脱いで鑑賞します。

他の美術館でもモネの作品を鑑賞した事がありますが、この部屋で観たのが格段に美しく引き込まれそうな感覚を受けました。これも考え抜かれた空間によるものなのでしょう。

 

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これは、地下3階のウォルター・デ・マリアの部屋です。

狭い入り口を入って、目の前に広がる階段と直径2.2mの球体に圧倒されました。日光の角度により、球体や木製の彫刻から落ちる影の向きと長さが変化し、時間で作品の表情が変わっていきます。階段の上まで登る事が出来て、球体に写る自分を見ながら直進していくのが面白かったです。

作品名は「タイム/タイムレス/ノー・タイム」。何を表現しているのか思いを巡らせてみるのもいいと思います。

 

そして、地下2階にジェームズ・タレルの作品が3作品ありました。

それぞれ違った表現をしつつ、光そのものをアートとして提示し体感する事が出来るものでした。

 

中でもゆっくりと鑑賞してもらいたいのが「オープン・スカイ」という作品です。

白い部屋の天井が切り抜かれただけの空間。地熱で暖められたベンチに腰を下ろし、空を見上げると、空がまるで額縁に入れられた絵のように感じられます。しかし絵とは違って動き続ける雲、外界から沈んだこの美術館で見上げるからこそ見えてきた雲の流れ。いつも私たちの上にはこんな空が広がっているのだと気づかされました。

 

この作品は「ナイトプログラム」と言って、日没に合わせて45分間、光の演出とともに静寂の中で鑑賞する事が出来ます。

生憎の雨でしたが、せっかくなので参加する事にしました。閉館後の美術館の入れるというのも特別な感じがして興味を引かれます。

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壁の中腹からLEDで天井が照らされる演出付き。明るいうちは特に何も感じなかったのですが、次第に日が沈んでいくと、赤いライトのときは青く見えたり、青いライトのときは一瞬天井と空の境目が分からなくなったり、とにかく驚きの連続!

しとしとと降る雨の音も心地よく感じました。

45分も経ったとは全然感じず、ずっと空を見上げていたい気持ちになりました。帰りのバスで「ほとんど寝てたわ〜」とDQN大学生みたいなこと言っている人もいましたが、せっかく来てるのにもったいないなって思いました・・・。

 

安藤さんの建築物と3人の芸術家による作品に入り込む事で、光・風・空など普段気にも留めない自然を感じ、その大切さに気づくことがこの美術館の意味だと思いました。

晴れた日にまた行きたいなと思っていますが、美術館に行かなくてもふと見上げれば、そこにも同じ空があります。仕事中でもちょっと空や自然を眺められるような余裕を持てるようになりたいです。

 

安藤さんの建築は、このように世界の見方が変わり、後の生活に変化を与えてくれるので、実際に訪れてみて良かったと思う事が多いので好きです。

美術館が好きな方には絶対一度は訪れてほしいと思う、ほんとに素晴らしい美術館でした。

 

次も、安藤さんが設計した美術館に向かいます。では。